矢口新プロフィール(メッセージ)

相場は“タイミング”である。
そして、タイミングを知るにはテクニカル指標を使う必要がある。
それも、“使えるテクニカル指標”を利用する必要がある。

私が相場を始めて、かれこれ30年になる。スタートはアストリー&ピアスという英系の為替のブローカーで、外為銀行同士が相対で行う為替取引の仲介を行っていた。仲介とはいっても、無理矢理にポジションを持たされることが毎日数回以上はあったので、損を出せないトレーディングで随分鍛えられたものだ。

その後、野村證券に移り、米国債や米国の社債などのディーラーをやらせて頂いた。ソロモン・ブラザーズやスイス・ユニオン銀行(UBS)などにも勤め、東京市場だけでなく、ニューヨークやロンドン市場でも、為替、債券のディーリングや機関投資家相手のセールスを、ブローカー時代から合わせて20年近く行った。商品もアメリカ株からデリバティブ、仕組み商品まで、金融商品は一通り何でも扱った。

2002年に自分の会社を興し、準備期間を含め2006年から2008年まで、私自身が考案したTPA(Tapestry Price Action)理論をもとにしたヘッジファンドの日本株プログラム運用を、某社の自己資金運用という形で行った。この運用は出資者の都合で中断したが、TPA理論での運用は3桁のリターンが望めるものであると確信できた。


私が会社勤めの間は、ずっとディーリングルームや商品本部というところにいたので、私は市場に育てられてきたという思いが強い。良い時も悪い時もあったが、私の生き方、考え方のすべてをつくってきたのが相場だ。そして、私にTPA理論を与えてくれたのも市場だ。

私は自分が受けた「御恩」を市場に返すべく、単なる金儲けを超えた相場の魅力、資金運用の技術やリスク管理を、著書やセミナーなどで説いてきた。

私はノウハウの出し惜しみはしない。最初の「生き残りのディーリング」は、20年ほど前のニューヨークで機関投資家相手のセールスをしていた時、某機関投資家から、若手のファンドマネージャーを育てて欲しいと頼まれて、その人に相場を知って貰うために書いたのがきっかけだ。その人はいまも海外の最大手ファンドで現役のファンドマネージャーとして活躍している。最初に私を師匠と呼んでくれた人だ。

知識や情報を提供し、物を書くものの端くれとして、近頃の著作権云々騒動は嘆かわしいものと感じている。私も自分が提供した物が盗作され、他人の物として出回るのは閉口するが、オリジナルを主張し、著作権を楯に人に使わせないほどの思い上がりはない。

日本には「本歌取り」という伝統がある。優れた先人の歌を引用して、自分なりに発展させることが深い教養の証しとされた。日本だけではない、英語はシェークスピア、イタリア語はダンテ、ドイツ語はゲーテ、ロシア語はプーシキンの書いたものが、後人に積極的に引用され、それぞれの言語の近代化に大きく貢献した。

こういうことを書くのだから、著作権云々を主張する人たちより、あるいは私の方がもっと思いあがっているのかも知れない。とはいえ、私の書いたものが、誰かに引用されたり、後世の人のお役に立てたなら、それこそ望外な光栄だ。

本書を書くために、これまでのテクニカル指標をつぶさに分析したことが、矢口オリジナルなテクニカル指標「エスチャート」の発明につながった。本書に算出式もすべて公開しているので、誰かがこれを利用して、私以上に運用成績を上げてくれることを望んでいる。考案者の私が「ダメ出し」されるとみっともないので、私は努力し続けるしかない。それが私の励みにもなるのだ。


私が相場に携わってきた30年間の前半は、市場は規制緩和で拡大した。日本もナンバーワンと呼ばれかけたこともあった。後半は衰退の歴史だ。公的債務残高などもワーストワンに近い。私がつかんでいる隠れ債務を合わせると、どうしてこうなってしまったのかと、嘆息を禁じ得ない。

この点に関しては、政府、官僚など指導層の責任が一番重い。とはいえ、結果的に彼らを信じ、日本の運営を任せてしまった私たち大人の世代は、次世代に顔向けができないだろう。未来は単に予想するものではなく、作り上げるものだという人たちがいるが、今を作ったのは私たちだからだ。

現代に限ったことではないが、世界は富の分捕り合戦を行っている。国の指導層がその分捕り合戦に負けると、国全体が貧しくなる。そうなると国の中で、少ない富の配分を巡っての争いが起きる。税金が引き上げられ、年金や社会保障費が引き下げられ、社会のサービスが劣化する。企業の経営者はコストカットと称し、労働者につけの支払いを押しつける。上が負けると、下々は惨めになるのだ。

日本は負け組だ。企業収益を見る限り、多くの日本企業も負け組だ。負け組に属することは辛い。国や企業の指導層に対して、俺なら勝ってみせると叫ぼうものなら、危険分子とされて処分される。とはいえ、いまの指導層を上に抱いている限り、私たちの未来は暗い。政権が変わって、期待したいところだが、国民の厳しいチェックの目がかかせないだろう。

暗い話の上塗りで恐縮だが、日本の自殺率は1997年から1998年にかけてジャンプし、以降は極めて高率で推移している。1997年末に経済界に大ショックを与えたのは、山一證券の自主廃業だ。あれが象徴だった。思えば、あの頃から日本の安心、安全神話が音を立てて崩れはじめたのだ。

自殺には個々の様々な理由があるのだろうが、このジャンプした部分に関しては、安心、安全神話の崩壊が関与しているのではないか。また、統計に表れた自殺は氷山の一角だ。事故死として扱われたもの、行方不明。あるいは、そこまでには至らずとも、国民の生活で、安心、安全神話の崩壊によって蝕まれた部分は大きかったはずだ。

山一廃業以降でも、マクロの景気回復や企業収益の改善は見られたが、国民の所得は伸びないどころか、雇用はますます不安定になり、保険料などの負担も増え続けた。国民の生活レベルは悪化し続け、自殺でさえも身近なものとなったのが、データにも出ている。あの頃から、日本は弱者を負け組と呼び、蔑む対象にし始めたのだ。


しかし、負け組を嘆いてなどいられない。負けたのは指導層で、自分たちはまだ戦ってもいないのだ。

閉塞感のある世界で、自分なりの勝利を得るために、法律を犯したり、ルールを捻じ曲げたりする者がいる。それで一時、時代の寵児となった者もいる。そういった戦い方もあるのだろうが、ルールの中で、しっかりと戦うことを好む者もいるだろう。

幸いなことに、私たちには株式市場がある。FX市場や債券市場、商品市場があるのだ。ここでは、事業を起すだけの資金や人材がなくても、自分1人の技術や才覚さえあれば、比較的少額な資金でも世界の富の分け前に預かれるチャンスがある。

増収増益を続けている、勝ち組企業に勤めることは経済的には幸運なことだろう。とはいえ、内部に入れば傍目ほど素晴らしいものではないかもしれない。いずれにせよ、サラリーマンでは自分で判断し決定できることは極めて限られている。法人という企業体の手足の一部でしかないのだ。

ここで増収増益を続けている企業の株を持てばどうだろう。もちろん高収益の会社の株価が必ず上がるというものではないが、うまくいけばその企業に勤めるよりもはるかに大きな恩恵に預かることができるのだ。なによりも素晴らしいのは、そういった企業を見つけ出し、投資し、見切ったりすることのすべてを自分の判断でできることだ。また、どんなに円安になっても、外貨を保有していれば困ることはないのだ。


私は相場という現場のたたき上げだ。現場の人間は大所高所からの意見よりも、自分が何をするか、自分なら何ができるか、どうするかを考える。そして、自分の仕事の完成度を高めることで、自己を実現し、社会に貢献しようとする。

資金を右から左に動かして収益を上げることは、物を右から左に動かして収益を上げることと何ら変わりがない。証券投資にも整備投資などと同じ投資という言葉を当てるように、相場で儲けることもビジネスで儲けるのと何ら変わりがないのだ。違いがあるとすれば、相場では結果がすぐに現れるということだ。このことは厳しいことではあるが、失敗してもすぐに次の手がうてるという利点でもある。

筋肉をつかうのが労働なら、手先をつかうのも、頭をつかうのも労働だ。もし、筋肉労働の方が価値が高いなら、土建業者は社長が最も薄給であるべきだ。

市場は多くの参加者があってはじめて、正常により安全に機能する。市場取引に参加するということは、資金の調達や運用、通貨の交換などを円滑に保証する市場経済を支えるという行為でもあるのだ。また、自分の判断でリスクを取り、富の公平な分配にも預かることができるのだ。


私は本書を通じて、あなたに相場のノウハウを教えよう。そして、あなたのこれからの人生に使える道具のひとつを与えよう。しかし、これはいわば「相場のレシピ」だ。レシピだけで本当の料理人にはなれないように、道具を使いこなせるようになるには、勝てるようになるには、それなりの精進が必要だ。

マラソン、水泳、フィギアスケート、ゴルフなど、あらゆるスポーツの、ほとんどすべての名選手の陰には、優れたコーチがいる。そのコーチ自身が、往年の名選手であったケースもあれば、選手ですらなかったケースもある。共通しているのは、優れた理論を持ち、ゲームに欠かせないノウハウを熟知していることだ。名選手が名コーチから独立したために、以後は活躍できなくなったケースも多い。

投資やトレーディングに理論やノウハウは必要ないと思うなら、それは大変な誤解だ。相場ではスポーツのように、基礎となる身体能力や運動神経、経験が決定的な意味を持つことがないので、理論や知性、経験が不足している人でも、運さえ良ければ勝つことができる。

そんな人は、何をしても(少なくとも一定期間の間は)うまくいくので、コーチの必要はないだろう。とはいえ、わざわざ(一定期間の間は)を括弧で括ったのは、ずっとそれで通用する人は、まず皆無だと言っていいからだ。

短い人で2、3年、長い人でも、ほとんどの人は10年続けばいい方だ。その後に、すべてをなくす人も稀ではない。それ以上続いている人は本物だ。仮に本人が意識していなかったとしても、十分に人に伝えられるだけの理論とノウハウを獲得しているはずだ。

10年以上儲け続けている人には、もはやコーチは不要だろう。あなたがそうでないなら、初心に帰って、プロの理論とノウハウを学んでみればどうだろう。どんなスポーツでも、プロに学べば、上達するためには何をすれはよいかが分かるようになる。投資生活のどんな時期にでも、本物の理論とノウハウとに出会うことは、その後の投資生活を一変させるものなのだ。


相場で最も大切なのは、タイミングとリスク管理だ。どんなにいいものでも、タイミングを間違えればうまくいかない。この点は、人生と同じだ。どんなに実力があっても、間が悪ければ、勝者にはなれない。

私にあなたの人生のタイミングは分からないが、相場のタイミングはテクニカル分析を学ぶことで分かるようになってくる。包丁さばきのように、私が本書で要領を教えるから、自分でその精度を高めていって欲しい。

まずは、小さな手元資金で始めることだ。失敗すれば、反省し、考えることで、知識や技術、精神力のアップにつながる。成功すれば、資産が増えるだけでなく、自信という財産を得ることができる。大怪我さえしなければ、どちらに転んでもポジティブに捉えてればいい。だから、大事なのはリスク管理なのだ。


FX市場や、株式市場を分析し、売買の手掛かりとする手法には、大きく分けて、ファンダメンタルズ分析と、テクニカル分析とがある。この2つの分析手法は、どちらにも長所があり短所がある。あなたが、より完成した投資家を目指すならば、どちらも学んだ方が良いだろう。両者の違いをできるだけ簡潔に述べよう。

ファンダメンタルズ分析の長所は、ファンダメンタルズが激変することは稀なので、それなりに将来の予測が立てやすいことだ。短所は、ファンダメンタルズ分析は投資対象の分析なので、その分析結果と為替レートや株価とは、必ずしも一致しないことだ。つまり、良いものが買われるとは限らないのだ。

テクニカル分析の長所は、市場価格の分析なので、為替レートや株価の現時点での状況が正確に分かることだ。短所は、あくまで過去から現時点までの分析なので、現時点からの価格の変動により、将来の予測が激変してしまう恐れがあることだ。つまり、支持線が保たれている間は買いだが、抜けたら売りと、180度転換するのがテクニカル分析だ。


この両者の違いを理解し、有効に活用することで、あなたの資金運用の成功確率は格段に高まるだろう。新著「テクニカル指標の成績表・相場はタイミングだ!」では、現場の資金運用者の観点から、FX市場、株式市場のテクニカル指標に焦点を当てて、詳しく、かつ実用的に、解説している。

そして、実戦に耐えうるテクニカル指標か、頭でっかちの理論倒れかを、修羅場を潜ってきたディーラーの目から独断で判断し、実用性の高いものから順に5つ星から1つ星とランク付けしてみた。5つ星は必須のテクニカル指標、あるいは考え方で、1つ星は欠陥品だ。

私が考案した「エスチャート(Survival Chart)」は4つ星だが、売り買いのシグナルを暗示するテクニカル指標としては、トレンドラインや移動平均線などと並ぶものだ。とはいえ、出来高を考慮に入れている点では、トレンドラインや移動平均線をも上回っている。エスチャートは、FXや株式だけでなく、出来高の情報が取れるものなら、すべての先物取引、債券やETFにも適用できる。


テクニカル分析はパターン分析という科学だ。科学は観察から始まる。どんなものでも、つぶさに執念深く観察するところから、何かが見えてくる。テクニカル分析では、徹底的に価格の動きを観察するところから、次の動きが見えるようになってくる。


相場はタイミングだ。テクニカル分析とは、その絶妙のタイミングを捉えようとするものなのだ。

2009年11月
矢口 新


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